14.社地区に残る金毘羅燈籠

1 金毘羅信仰
金毘羅信仰は、江戸時代中期以降に全国に広がり、航海の神として海上(水上)交通の安全守護のほか、旱魃の害が多かったため、雨乞いの神(水神)として、また田畑の豊穣のための農耕神などの信仰として祈願されました。
倉吉博物館では、倉吉市内の約90基の金毘羅燈籠が調査されており、残り約10基は未調査となっています。
この金毘羅燈籠は、讃岐象頭山に続く街道の安全を祈願するほか、米の運搬など川舟の航行安全祈願、豊穣を祈る農耕祈願、河川の氾濫など水害からの守護等のため建立されたと考えられています。
江戸時代に倉吉と八橋の往来で賑わった「八橋街道」は、国府と国分寺の境界を通っており、街道筋の「国府川」岸辺にあった「船着場」には、横田、福光、国分寺など近郷の村々から八橋街道経由で集められた「藩米」が、橋津の鳥取藩倉庫まで川舟に積まれ運ばれていました。

2 村の金毘羅燈籠
社地区には、金毘羅信仰に繋がる石灯籠が1級河川「国府川」に沿った、和田・不入岡・国府・国分寺・福光・横田の6村に残されています。
この6基の燈籠は、江戸時代末期、文政年間の1823(文政6)年から1827(文政10)年までの5年間に建立されています。
金毘羅燈籠は、村の入り口や辻など主要な道沿いに建立され、明かりを灯し常夜灯として暮らしに役立てられ、また縁日に祀られたのではと考えられます。
輸送手段に車が使用され始めた、昭和初期から昭和30年代にかけて、道路の拡幅や交差点の改良整備などが行われた結果、多くの金毘羅燈籠は他の場所に移転され、当時のままの金毘羅燈籠の姿は残っていないようです。

(1)和田の燈籠
和田地内の主要地方道倉吉由良線と県道倉吉環状線の交差点横に建立されています。
村では「燈籠さん」と呼ばれ、燈籠正面の竿に「金毘羅山」、右側面に「常夜灯」と刻まれ、裏側に「文政10年 村中若連中」と記されています。
基礎が4段積みとなっているため、全体の高さは3.70メートルと社地区で最も大きい姿です。
燈籠の特徴は、中台と基礎の石材に「盃状穴」(直径6~10センチ・深さ3~5センチ)が合計56箇所残されています。
この場所は、幹線道路であり、交差点であったので、道路の拡幅や交差点の拡張工事が1971(昭和46)年2月と1990(平成2)年3月に行われており、金比羅燈籠は、その都度近くの道路脇に移転されました。

(2)不入岡の燈籠
県道「倉吉環状線」沿いに在った元清水神社の境内跡地の広場、東南隅に置かれています。
燈籠正面の竿に「金毘羅山」と刻まれ、裏側に「文政6年」左側面に「願主若連中」などと記されています。高さは1.90メートル。
特徴は、基礎の加工石材に「盃状穴」(直径4~8センチ・深さ1~3センチ)が合計21箇所残されています。

 

(3)国府の燈籠
県道「倉吉東伯線」国府地内の坂道の融雪装置に給水するポンプ小屋横に置かれていますが、移転された経緯は不明です。
燈籠正面の竿に「金毘羅宮」と刻まれ、右側面に「文政7年8月 」と記されています。「盃状穴」の痕跡はない。高さは1.85メートル。

(4) 国分寺の燈籠
久米郡札23番「国分寺村観音堂」前の木陰に置かれていますが、移転された経緯は不明です。
燈籠正面の竿に「金毘羅」と刻まれ、右側面に「文政8年」左側面に「願主村中」などと記されています。高さは2.10メートル。
常夜型燈籠の中央部分の火袋と中台の石材は新しく、建立後地震などによって倒壊破損し、修復されたものと推測されます。
特徴は、基礎の加工石材に「盃状穴」(直径6~10センチ・深さ2~8センチ)が合計23箇所残されています。

(5) 福光の燈籠
市道「福光中央線」沿いの水田の水路脇に建立されています。
燈籠正面の竿に「金毘羅大権現」と刻まれ、右側面に「文政6年」と記されています。「盃状穴」の痕跡はない。高さは1.90メートル。
常夜型燈籠の中央部分の火袋の石材は新しく、建立後地震、洪水などによって倒壊破損し、修復されたものと推測されます。

(6) 横田の燈籠
横田字宮ノ峰の国庁裏神社「遥拝所」(横田神社跡)境内に置かれています。
常夜型燈籠正面の竿に「金」1字が刻まれ、右側面に「文政6年」と記されています。高さは2.40メートル。
燈籠中央部分の火袋の石材は新しく、笠の屋根の端と中台の端が一部破損欠けていることから建立後、地震などによって倒壊破損したため修復されたものと推測されます。
特徴は、中台の四隅と基礎上段の四隅および基礎下段の後ろ側石材などに「盃状穴」(直径4~8センチ・深さ1~4センチ)が合計18箇所残されています。
燈籠は、昭和初期までは、主要地方道倉吉赤碕中山線の横田の入り口、道端に建立されていましたが、道路の拡幅工事に伴い撤去され横田公民館敷地に移転、その後1959(昭和34)年に公民館の改築のため現在地に移転されています。

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